Webサイトを運営するうえで良質なコンテンツを制作することは非常に重要です。しかし、検索エンジンがその意図を正確に理解できなければ、コンテンツの価値が十分に評価されない可能性があります。
構造化データは、検索エンジンに対してページ内容の“意味”を正確に伝える仕組みとして有効です。本記事では、構造化データの基礎知識、導入のメリット・注意点、実際のマークアップ方法、そして検証・運用方法まで丁寧に解説します。
構造化データとは、Webページに記載された情報が「何であるか」を検索エンジンに正しく伝えるための記述形式(メタデータ)のことです。
例えば、ページ上に「株式会社サンプル 設立:2020年」と記載があったとします。 人間はこれを「社名と設立年だ」と文脈から理解できますが、検索エンジンにとっては単なる文字の並びに過ぎません。 そこで構造化データを使い、「これは組織名です」「これは設立日です」といったように、情報に意味付けを行います。
構造化データによって、検索エンジンはページの内容をより正確に、そして深く理解できるようになります。
構造化データを導入することによって、サイト運営には以下のような利点があります。
構造化データを用いることで、検索エンジンは「この部分は評価」「これは価格」「これは著者情報」といった情報の意味を正確に認識できます。
これにより、コンテンツをより誤解なく読み取ってもらえる可能性が高まります。
構造化データを適切に設定すると、検索結果の表示が通常よりも情報量豊かになる「リッチリザルト」として表示されることがあります。
具体的には、以下のような表示がリッチリザルトにあたります。
通常のタイトルと説明文のみの表示に比べ、これらの情報は検索結果画面で利用者の目を引きます。
リッチリザルトとして表示されると、検索結果画面で他のサイトよりも多くの情報が示されるためユーザーのクリック率(CTR)の向上が期待できます。
また、構造化データを適切に設定しているサイトは、情報設計が丁寧であるという評価にもつながり、結果的に信頼性やブランド価値の向上に寄与する可能性があります。
ここで一つ留意しておきたいのは、構造化データは検索順位を直接引き上げるものではない、という点です。あくまで、検索エンジンの理解を助け、ユーザーの利便性を高めることで、間接的にSEOへ良い影響をもたらす施策です。
構造化データにはメリットだけでなく、導入・運用する上で気をつけるべき点もあります。
構造化データを記述しても、Googleの判断次第で、必ずしもリッチリザルトとして表示されるとは限りません。 「実装=表示保証」ではないことに注意が必要です。
特に多くのコンテンツを扱うサイトでは、どのボキャブラリー(schema.orgの定義) を使うか、どのプロパティ(項目)を含めるかなど、設計の判断が必要になります。この設計が不適切だと、後々の修正に工数がかかることもあります。
検索エンジンの構造化データ仕様や対応プロパティは随時更新されます。定期的な仕様チェックとメンテナンスが必要です。
通常のHTMLに加えて構造化データを記述する手間が増えるため、工数や作業負荷が上がる可能性があります。ツール利用や自動化の検討も視野に入れるとよいでしょう。
構造化データを記述するルールとして、「ボキャブラリー」と「シンタックス」があります。
どのような情報を記述するかを定義した規格(単語集) のことです。「schema.org」を利用するのが一般的です。
参考:schema.org
記述形式(文法)のことで、「JSON-LD」「Microdata」「RDFa」などいくつか種類があります。 現在Googleが推奨しているのは「JSON-LD」という形式です。HTMLの本文とは別に記述できるため、管理しやすいのが特長です。
参考:構造化データに関する一般的なガイドライン(Google 検索セントラル)
「schema.org」で定義された値を使い、「JSON-LD」という文法で記述するのが現在の基本です。
ここからは、JSON-LDで構造化データを実際に導入する方法について解説します。
実装の方法は複数あるので、サイトの運用体制やご自身のスキルに合わせてやりやすい方法を選びましょう。
最も基本かつ自由度の高い方法です。
以下はブログ記事ページでよく使われる「記事(Article)」と「パンくずリスト(BreadcrumbList)」を組み合わせた JSON-LD の記述例です。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@graph": [
{
"@type": "Article",
"headline": "構造化データの書き方入門",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "シンク 太郎"
},
"datePublished": "2025-11-19",
"image": "https://example.com/path/to/image.jpg",
"publisher": {
"@type": "Organization",
"name": "自社メディア",
"logo": {
"@type": "ImageObject",
"url": "https://example.com/logo.png"
}
}
},
{
"@type": "BreadcrumbList",
"itemListElement": [
{
"@type": "ListItem",
"position": 1,
"name": "ホーム",
"item": "https://example.com/"
},
{
"@type": "ListItem",
"position": 2,
"name": "SEOの基礎",
"item": "https://example.com/seo-basics/"
},
{
"@type": "ListItem",
"position": 3,
"name": "構造化データの書き方入門"
}
]
}
]
}
</script>
このように記述することで、検索エンジンに以下の情報を正確に伝えることができます。
● @type": "Article" の部分
headline: 記事のタイトルは「構造化データの書き方入門」です。author: 著者は「シンク 太郎」という人物です。datePublished: 公開日は2025年11月19日です。publisher: 発行元は「自社メディア」という組織です。
● @type": "BreadcrumbList" の部分
itemListElement: パンくずリストの階層構造を示しています。position: リストの順番(1がトップページ)を指定しています。
これにより、検索結果にサイトの階層構造が表示されやすくなります。
手動記述の利点は、このように複数の要素を自由に組み合わせたり、細かい制御ができたりすることです。
ただし、記述ミス(カンマの忘れなど)が起きやすいため、後述する検証ツールでの確認が必須となります。
HTMLに不慣れな場合は、Googleが提供する「構造化データマークアップ支援ツール」が便利です。URLまたはHTMLソースを入力して、画面上で「タイトル」「著者」「日付」などをクリックで割り当てるだけで、構造化データを生成できます。最終的に取得した `<script type=”application/ld+json”>` タグを自サイトに反映します。 ただし、出力されるコードが最新仕様に準拠しているかは、後述の検証ツールで必ず確認することをおすすめします。
構造化データマークアップ支援ツール
https://www.google.com/webmasters/markup-helper/u/0/?hl=ja
Google Search Consoleに備わる「データハイライター」を使うと、HTMLを編集せずに検索エンジン向けのタグ付けが可能です。ページ内で該当テキスト要素を選び、意味(「見出し」「公開日」「著者」など)を割り当てる形式です。 この方法は手軽ではありますが、複雑な構造化データには対応しづらいという制限があります。
WordPressなどを利用している場合、構造化データを自動生成するプラグインやテーマ機能が多く存在します。投稿時に入力された著者・公開日・アイキャッチ画像などの情報から、自動でJSON-LDを挿入してくれるものもあります。 この方式の利点は運用性と導入のしやすさですが、自動出力される構造化データが仕様を満たしているかはプラグインの性能に依存します。生成後のコードは必ず目視やツールで確認しましょう。
導入後、構造化データが正しく機能しているかを確認し、異常があれば修正できるようにしておくことが大切です。以下のツール・手法を活用しましょう。
URLまたは構造化データのコードを入力することで、Googleがそのページをリッチリザルトとしてどう判断するかを確認できます。エラーや警告も表示されるため、実装後の確認に必須のツールです。
リッチリザルトテスト
https://search.google.com/test/rich-results?hl=ja
構造化データの記述が文法的に正しいか、語彙の使い方が適切かをチェックできるツールです。ただし、この検証では、Googleのリッチリザルト要件(必須プロパティの有無など)が満たされているかは評価されない点に注意が必要です。
スキーマ検証ツール
https://validator.schema.org/
Search Consoleの「拡張」セクション内の各レポート(「パンくずリスト」「FAQ」など)を通じて、サイト内での構造化データのステータス(エラー・警告・正常認識)を確認できます。問題の発生や仕様変更に早期対応できるよう、定期的なチェックを習慣化しましょう。
構造化データは、検索エンジンと“意味”を共有するための強力なツールです。以下のポイントを押さえて導入を検討してください。
構造化データを整えるということは、単にSEO対策を行うだけでなく、コンテンツの「検索エンジンに読んでほしい意図」を明確に示すことです。
意図が正確に伝わらなければ、コンテンツの価値が正しく評価されない可能性もあります。
構造化データを導入・維持し、検索エンジンと読者の両方に伝わるサイトを構築しましょう。